玉井倶楽部

玉井裕也のはてなブログ

春すぎて

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

日本人ならこの歌ぐらいは知っている。持統天皇の歌だということも知っている。そしてこれが万葉集の「春過ぎて夏来たるらし白妙の衣ほしたり天の香具山」からきているということも知っているのだろう。万葉集のほうがいい、勝手に変えるなよ、なんて文句を言ういう人もいるらしい。だれど私は、小倉百人一首のほうが好きだ。藤原定家は偉いと思う。

そんなことはさておき、春が過ぎて衣替えの季節がやってきた。つい先日のことだが、冬の着物を干して押し入れにしまった。代わりに夏の半袖のシャツなどを出してきた。白い衣ではなくても、半袖のシャツもやはり干しておくものだろう。夏が来たのだから。

私の毎日はそんなこととは関係なく同じように過ぎている。時間が過ぎるのは早い。まさに「夏来にけらし」の気分だ。何も変わらないようでちょっとづつ変わっている。今日もまたノートの前のページを開いては書き直すなんてことを繰り返していた。藤原定家の毎日もこうであったかもしれない。だけど私の場合は、屏風の落書きが増えているだけなのだ。